エコレザーに関するアンケート結果
 
ア ン ケ ー ト 調 査 結 果  (H21.1.22〜23)
特定非営利活動法人 日本皮革技術協会
 
 協同組合資材連合会主催の第79回東京レザーフェアが平成21年1月22日〜23日の2日間に亘り、都立産業貿易センター台東館4〜7階で開催された。日本皮革技術協会では、環境対応革(エコレザー)の啓発および認識度の調査を兼ねて、(財)日本皮革研究所のブースをお借りしてエコレザー啓発パネルを展示するとともに来場者を対象に下記の項目についてアンケート調査を行った。
 
1.あなたは、皮革製品と繊維・プラスチック製品を比較して、どちらが好きですか?

   @皮革製品
   A繊維・プラスチック製品
   Bそれぞれに良さがあるのでどちらとも言えない
この展示会は皮革素材展であるため皮革産業にかかわる来場者が多いが、やはり繊維・プラスチック製品よりも皮革製品を愛用するという傾向が強い。
 
 
2.皮革製品で良いと感じる点をお答えください(複数回答可能)

   @肌触り等の感触のよさ  Aデザイン性
   B保温性や蒸れにくい等の機能性  C見た目の質感  D高級感
   Eフィット感  Fその他(                      )
皮革製品の「よい」という特徴は、やはり他素材では得られない肌触り、その質感と高級感という魅力に惹かれるといえる。これらの項目については、鞣し技術に左右されるところが多いが、保温性やフィット感など、皮革の特性を生かした「よさ」を求める人達も多いことを示している。
 
 
3.皮革製品に要望する点をお答えください(複数回答可能)

   @染色堅ろう性を向上してほしい  A耐久性を高くして欲しい
   B鮮やかな色目の製品を増やして欲しい  C軽量化して欲しい
   D低価格  E安全・安心に配慮した製品
   Fその他(             )
皮革製品の特性をより改善するための資料として、どのような項目が求められているかを把握するための設問に対して、軽量化が25%で最も多い。軽量化に関しては鞣し工程、再鞣工程、加脂工程が大きく影響すると思われる。また、染色摩擦堅ろう度の向上に関する要望も相変わらず多い。次いで価格、鮮明さを要望しているが、環境対応革開発事業で推進している安心・安全性に関してはまだ認識が少ないといえる。
 
4.あなたは「エコレザー」という言葉を、見聞きしたことがありますか?

   @見聞きしたことがない    A見聞きしたことがある
「エコレザー」といっても当協会が推奨している「エコレザー」と一般的概念で認識されている「エコレザー」間には、かなりの温度差が感じられるが、「エコレザー」という言葉に関しては、ほぼ70%以上が認識していると推測する。しかし、今回は皮革の展示会来場者という認識をもって、この回答を判断する必要も感じる。街中でのアンケートと比較することも必要ではないかと思う。
 
エコレザーとは

 「日本エコレザー基準」に適合し、革の資源、製造、流通、消費、廃棄、リサイクルなど全般における環境負荷低減に配慮し、環境面への影響が少ないと認められる革材料のことをいう。
 
 
5.「エコレザー」という言葉から連想する内容としては次のどの項目でしょうか?
   @有害な物質が含まれていないので使っても安心な皮革
   A有害な物質が含まれていないのに加えて、皮革を作る工程でも、環境に有害な物質を排出せずに
     製造された皮革
   Bよくわからない
単に革中の有害物質のみならず、製革工程全般に拘わる環境問題も意識した回答が74%と断然多い。このことは、当協会が推奨している「エコレザー」とはという概念と全く一致するところである。製革企業においても「将来の革づくり」また革製品加工メーカーにおいても、何を意味するかを示唆する回答が多いといえる。すなわち、ゆりかごから墓場までという観点からの生産技術が必要であるといえる。
 
 
6.日本皮革技術協会では「日本エコレザー基準」という規格を策定し、環境に優しい皮革製品の普及に努めております。あなたが鞄や靴、衣料等の皮革製品を購入するに当たって、「日本エコレザー基準」認定皮革使用、というラベルが添付された製品と、そういうラベルが添付されていない同じデザインの製品とでは、どちらを選びますか?

   @多少高価格でも「日本エコレザー基準」認定皮革使用というラベルが添付されている製品
   Aラベルの有無は気にしない。
   B分からない
当協会は「日本エコレザー基準」適合革の普及を目指しているが、単なる分析証明書のみではなく、明らかに一目で分かる「ラベル」表示を要望する回答が過半数を超えることが分かった。普及啓発を推進するためには「日本エコレザー基準適合革」という認証業務の重要性が求められているものと判断する。しかし、「わからない」も20%弱あり、エコレザーに関する認識向上にも努める必要性を感じる。
 
 

 
ア ン ケ ー ト 調 査 結 果  (H16〜18)
特定非営利活動法人 日本皮革技術協会
 
 日本皮革技術協会では,革製造における環境負荷削減に関する研究を20年以上取組んできました。H17年からは,革用環境ラベル基準(JSGと略称しています)を設定し,(財)日本環境協会に活用いただき,革製かばんエコマークの認証基準に採用されました。これによりJSGがエコレザー認証のための必須要件となりました。
 本会では,革専用環境ラベルを推進するために一般市民が集う革祭り,皮革業界や学生・デザイナーが集う皮革展示会・ファッションショー,皮革知識を学習する講習会などにおいてエコレザーに対するアンケートを平成16〜18年に実施してきました。
 アンケートを通じて消費者及び皮革関連業界の環境意識を把握するとともにエコレザーの普及もしてきました。アンケート結果から,日本の革が環境分野においても国際的に高く評価されうる研究課題を考え,実際の運用にいたる活動資料に利用したいと考えています。アンケートにご協力いただいたことに感謝するとともに,その結果を以下のようにまとめ,コメントを添えて公表いたします。

(評)
 Q1は,革製品の環境ラベルを見たことがあるかとの一般市民に向けての問いでは,60%が日本のエコマーク認証品の制服,文具,生活用品などを回答しました。
 その内,革製品では2人が革製かばん・バッグを見たと,もう1人がEU内での認証靴を見たと回答しました。
 認証革製品を百貨店で見かけることはまだまだ難しいですが,一度,探索してみませんか。百貨店の環境への取組み方がわかります。
 

(評)
 Q2も一般市民向けのアンケート結果です。92%がエコレザーと正解でした。展示場でエコレザーの実物やその定義(一定の材料基準を満足し,資源・製造・流通・消費・廃棄・リサイクルにおいて環境面への影響が少ないと認められた革材料をいう)を明示し,観察後にアンケートに答えてもらいました。ここでいう主な一定材料試験とは,革から溶出する,ホルムアルデヒド,鉛,カドミウム,ニッケル,コバルト,全クロム,6価クロム,PCP(農薬),禁止染料,臭気,染色堅ろう度などの検査で,これに合格し,第三者機関で認定されたものだけがエコレザーといえます。その他,耐久・機能など多くの検査が必要です。
 

(評)
 Q3も一般市民向けのアンケート結果です。まだ,市場ではエコレザー製品を見かけませんが,皮革製品 環境ラベルは,食品と同様,消費者が厳しい選択権を持って地球環境を監視する役目もあります。認証品 があるなら,54%の人が多少高くてもよいとの回答でした。このように環境ラベルという企業情報を見て,消費者が企業を監査する時代です。すなわち,環境ラベル認証製品が優先的に選別され,環境を守る時代が来ています。多少高くてもいいと考える内訳は,72%は2割高までと回答しています。これは設問7でも見ますが,エコレザー生産コストの20%アップと偶然一致しました。
 

(評)
 設問1は皮革業界に向けの講習会で調査したものです。約8割が革は環境負荷削減に寄与していると認識していました。革の原料資源は,肉・毛用動物(日本のエコマークでは,家畜に限定しています)の副産物であり,合成・人工品に比べたら,明らかに資源の有効利用になっています。皮革講習会では,薬品業界,革・革製品販売・検査機関,繊維関係者も参加しており,その約2割の方は革の原料資源が環境負荷削減に寄与はないとの見解をとりました。この回答は恐らく動物の飼育するための要因を考えたものかも知れません。ここではスタートは肉加工場から廃棄される生皮から考えています。
 

(評)
 設問2は,続く設問8まで皮革講習会時に行ったアンケート結果です。Q2で述べましたが,革から溶出する化学物質(狭義には有害物質)の検査に合格することが,エコレザーの必須条件となっています。日本のエコマーク革製かばんでは,当協会の化学物質の検査基準(JSGという)を適用しており,合格の第一関門であることは間違いありません。回答では37%がJSGに合格すれば,エコレザーと呼称してもよいと考えています。一方,57%が環境負荷全体を考えるべきであるとしています。実際に日本のエコマークやEU靴ラベルなどでは,革製品のライフサイクル全工程での環境負荷削減に努めることが求められ,環境法令の遵守,耐久性・機能性に対する品質検査などにも対応することが求められています。
 

(評)
 設問3では認証革製品は差差別化技術として有効だと約7割が回答した。現状では市場にほとんど見かけないが,消費者の期待や理解が増えれば,市場は拡大し,環境負荷削減に役に立つことは間違いない。消費者の認識次第であり,そのためにはPRが必要であり,率先して市場開拓を心がけなければならない。なお,エコラベル,エコマークなどの呼称は環境ラベルと同義です。ISOでは環境ラベルを使っています
 

(評)
 設問4ではエコレザーを評価する上で環境負荷削減項目のどの項目に重視するかを聞きました。設問2では約6割が環境負荷削減項目の全体に考慮すべきとの声が多かったのですが,ISOでは上記のように9項目を評価項目としています。高いものから上げますと,有害物質(広義では化学物質)の使用・排出>水質汚濁物質>廃棄物の排出・処理>地球温暖化影響物質>生態系への影響>オゾン層破壊物質>大気汚染物質>その他となっています。この結果は,環境ラベルの専門家会議でも似たような結果を示しており,講習会受講者のレベルの高さを感じました。やはり,食品と同じく先ずは革から有害物質の使用や排出を削減することが,求められていることが分かります。ですから,本会のJSGでは化学物質の基準値を設定しているのです。
 

(評)
 設問5では,日本皮革技術協会で化学物質検査基準(JSG)を策定しましたが,革専用の認定機関はわが国には存在しません。皮革産業においても自国で環境保護を確立していくには革専門の認定審査機関が必須となります。そこで,講習会の受講者に革専門の認定審査機関を早期に創設が必要かどうかを尋ねたところ,約8割が早期に創設を希望しました。9%が繊維認証機関に委託したらの声もありました。
 

(評)
 設問6では,わが国独自の革専用認証審査機関を創設するなら,どのような構成がいいかを聞いたところ,模範的な回答が出されたものである。1つは認証審査を実際に行う第三者機関として学会組織である日本皮革技術協会と皮革専門検査機関が当り,2つは目の運用機関は,利害関係者に集まってもらい基準値の修正・追加,適用範囲の審議,申請方法などを審議してもらい,実際のラベルの運用,販売促進などは認定企業の有志などで委員会が行う,3つ目は,実際の事務局であり,手数料・運営などを管理する。この3つの構成によって国際的にも対応するように運用するシステム案が示されました。いずれにしても受益者負担で創設を考えることが望まれているようです。
 

(評)
 設問7では,環境ラベルへの検査費用について回答を求めました。皮革製品はファッション性が高く,同一製法のものを大量生産する時代は過ぎ去り,一処方で多大な検査費用を使うことは不可能と言われています。アンケート結果のように,5万円〜10万代が40%と最大であり,続いて10万〜15万以下が34%であった。エコレザー生産のためには従来品に比べて20%増のコストが掛かるといわれています。このような費用負担は生産者のみに押し付けることはできません。ですから,加工,流通,販売,消費の各段階での費用分担が求められています。生産費以外にも,審査料,ラベル印刷費,ラベル使用料,更新料なども必要となります。多品種少量生産品の革製品に対応した基準値・証明法方法を見出す必要もあります。